日本呼吸器外科学会 理事長あいさつ

奥村明之進先生

特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
 理事長 奥村 明之進
 (大阪大学大学院医学系研究科呼吸器外科学教授)

 高松にて開催されました第32回の日本呼吸器外科学会学術集会の会期中、本年度の第1回理事会(2015年5月15日 午前7時)におきまして、特任理事に任命いただき、二期目の理事長を拝命しました。ご報告を兼ねてご挨拶申し上げます。

 本年5月14日、学術集会中の理事長報告でも伝えましたように、過去2年間に本学会は多数の新たな展開を行ってきました。

 本学会および学会員にとっての現在の最大の懸案事項は、2017年から導入される新たな専門医制度への対応です。そのため総合専門医制度委員会と呼吸器外科専門医合同委員会は、日本外科学会および日本胸部外科学会と連絡を取りながら制度設計を行っています。基盤領域の外科専門医制度との整合性をはかりながら、サブスペシャリティとして現在の制度を新しい制度に合わせる必要があり、関係者が全力で対応しています。ほぼ大枠をできていますが、細部を調整中という段階です。

 呼吸器外科専門医制度をより強固にするために、専門医テキストも作成中です。また、各専門医、専門医を目指す各会員の便宜を図るため、専門医資格と会員資格を管理する会員サーバーも導入中です。専門医修練施設の情報もこのサーバーにより管理でき、施設の責任者が交代しても情報を正し伝達できるようにしています。

 会員サーバーだけでなく、学会運営の全般的なIT化にも力を入れております。学会雑誌が来年からのオンライン・ジャーナル化されます。WEB会議も導入し、理事会をはじめ各種会議でもインターネット環境で会議を導入することにより、運営費・時間・労力を省きながら学会活動を発展させることを考えています。また2014年からは呼吸器外科領域もNCD登録の2階建て部分が開始され、順調に登録が進んでいます。会員諸氏の協力により非常に高い登録率が得られており、今後のデータ活用による学術業績が期待されます。また、NCD登録症例が、日本胸部外科学会の学術調査に自動集計されるソフトも導入し、学会員の労力を減ずることにもつながっていると思います。

 呼吸器外科を専攻する後継者の育成と教育も学会の重要な責務ですが、一つの活動としてサマースクールを毎年開催し、学会員と研修医・医学生の参加者との交流を図っています。

 医療安全、手術の安全性向上、手術手技の標準化は、現在の外科医療において重要な課題です。肺癌に対する胸腔鏡手術、気胸に対する胸腔鏡手術、肺癌手術の呼吸機能面でのリスク評価、重症筋無力症の周術期管理など、4つのガイドラインを作成し、General Thoracic and Cardiovascular Surgery にそれぞれ掲載もしています。昨年、胸腔鏡手術の技術認定に関するアンケート調査の報告をしましたが、胸腔鏡手術の安全性を高めていくためには、一つの方法論として考慮していく必要があるでしょう。

 学会として高度医療の推進も考える必要がありますが、肺移植を一層一般的な治療としての認識を高めることや、ロボット手術などの次世代技術の推進も図らねばなりません。

 最後になりますが、学術面では学術委員会主導の研究が成果をあげておりますし、4学会合同の肺癌登録事業からの成果も上がっています。

 また、学会の国際化にも力を入れてきましたが、 European Society of Thoracic Surgeons (ESTS) を中心に海外での発表の増え、学会の国際化も進んできました。現在、リスボンで開催中の第23回の ESTS annual conference に出席しています。日本呼吸器外科学会が出資する JACS Award も今回で2回目となり、ヨーロッパの学会での日本への認識も向上していると期待します。

 上術の各事業の具体的な内容は、理事長報告のスライドをご覧ください。現在進行中の事業も多数ありますので、次期2年間の理事長任期中も引き続きご協力を宜しくお願いします。

 今後も学会員が協力して日本呼吸器外科学会の更なる発展に貢献いただきたくことを期待しています。

2015年6月3日、ポルトガル リスボンにて
奥村明之進先生サイン