第35回日本呼吸器外科学会総会・学術集会 会報(第5報)

第35回の学術集会を下記の要領で開催いたします。

第35回日本呼吸器外科学会総会・学術集会
会長 吉野 一郎
(千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学 教授)

会 期:
2018年5月17日(木)~18日(金)
会 場:
幕張メッセ(千葉市美浜区)
〒261-0023 千葉市美浜区中瀬2-1
TEL:043-296-0001 FAX:043-296-0529
総会テーマ

「アートとエビデンスに基づいたプラクティスを目指して」

総会プログラム概要
1.報告事項 Business report
 理事長報告
 学術委員会報告
 GTCS報告
 NCD報告
 肺癌登録合同委員会報告
2.日本呼吸器外科学会賞受賞講演 JACS award
 見前 隆洋(広島大学 腫瘍外科)
3.国際学会との共同シンポジウム Joint symposium with international society
 JACS-ESTS Joint Session
4.会長講演 Presidential lecture
5.教育講演 Educational session
『胸部外科領域における筋皮弁テクニック』
『臨床研究のススメと進め方』
『Organ engineering』
『AI(人工知能)の産業応用と医療への展開について』
6.インターナショナルプレナリーセッションInternational plenary session
7.インターナショナルセッション International session
8.特別企画 Special session
呼吸器外科におけるconsensusとcontroversy
Consensus and controversy in the field of general thoracic surgery
呼吸器外科の日常臨床における判断は、高いレベルのエビデンスを元にしたガイドラインよりも経験の蓄積や技術・機器の進歩によって形作られて来たコンセンサスによるものが多い。呼吸器外科領域においては現在どのようなエビデンス、コンセンサスがあり、どのような新たなエビデンスの創生が望まれるか。6つの課題に関するコンセンサスと未だ議論のある点(controversy)について、事前アンケートを元に討論する。
事前に各演者には、各テーマについて、未だ議論のある点についてアンケートをとっておく。事務局は同じアンケートを評議員全員に行い、取りまとめておく。司会と各演者はその結果を共有しておく。
発表はまず司会が各課題について説明した後、各演者がアンケートに対する回答とその理由をレビューしていただく(各10分、計20分)。次いで質疑応答を行い、事前アンケートの結果なども紹介して司会が総括する。1課題あたり40分を割り当てる。司会と演者のプロフィルは抄録号に掲載し、発表時には省略する。

課題1 末梢小型非小細胞肺癌における積極的縮小手術:適応と術式選択の現状を探る!
課題2 切除可能IIIA-N2期非小細胞肺癌に対する集学的治療:目指すべき方向性は何か?
課題3 悪性胸膜中皮腫の外科治療:EPPは必要ない?
課題4 転移性肺腫瘍の治療戦略:実臨床ではどうしてる?
課題5 難治性続発性気胸の治療選択:手術かインターベンションか?
課題6 気管・気管支狭窄・閉塞に対する治療戦略:手術かインターベンションか?

この一年のトピック Topic of this year
この1年の呼吸器外科領域の国際的な業績をコンパクトにまとめて紹介する。

Research mindとcareer development Research mind and career development
目覚ましい国際的な成果を上げてきた新進気鋭の若手呼吸器外科医に、これまで積み上げてきた実績とともにresearch mindの重要性について語っていただく。
1 Harald C Ott  “Decellularization and recellulariization technology”
2 Wolfgang Jungraithmayr “Innovation in lung transplantation”
3 Marcelo Cypel  “Ex-vivo lung perfusion”
4 Kazuhiro Yasufuku
5 横須賀 忠 “チェックポイントから学ぶこと~科学的思考は疫学や過去の結論から新天地を築く~”
6 柳川 直樹 “医学・医療におけるResearch mindとCareer development  ―如何にresearch mindを育むか―”

手術イラストコンテスト Surgical scheme contest
電子カルテの普及により手術記事は文字情報のみになることが多く、術野の視覚的記録は主にビデオ画像となっている。一方、修練医にとっては手術イラストを描くことは手術を3次元的に理解し、ピットホールを学び記憶することに役立ってきた。本企画では日常診療で記録した手術イラストを公募し、フロアで披露する。なお学術集会参加者に最も印象深いイラストに投票していただき、2日目の午後に発表する予定である。
1手術につき1−3枚のイラストのコピーをPDF化したものを、病名、術式、手術年月、コメント(200字以内)を登録していただく。施設責任者の承認が必須で、優秀な作品を50品ほど選出して採択する。1日目午前中にポスターと同様に掲示板に頒布していただき、参加者の推薦(あらかじめ参加証に頒布してある投票券を作品脇に設けた箇所に投票して計算)が最も多かった作品を2日目の午後に発表する。

4Kでみる呼吸器外科の世界 The 4K world of general thoracic surgery
4Kモニターで、呼吸器外科手術の第一人者の手術を堪能する。
大藤 剛宏「4Kでみる肺移植手術テクニック」
奥村  栄「肺癌に対するリンパ節郭清」
中西 良一「完全胸腔鏡下右上葉管状切除ならびに気管支形成術」
遠藤 俊輔「動脈管索を離断した胸腔鏡下左上縦隔分岐部リンパ節郭清術」
大泉 弘幸「胸腔鏡下解剖学的肺区域切除術」
田尻 道彦「「Needlescpic Thorcic Surgery」―;細径スコープと細径鉗子を用いた胸腔鏡下手術―」
関根 康雄「4Kスコープと近赤外線スコープを用いた経気管支ICG肺区域切除」
岩﨑 正之「一窓法の実際」
9.シンポジウム Symposium
慢性肺疾患を合併した肺癌の治療戦略
Therapeutic strategy against lung cancer with chronic lung diseases
呼吸器外科の主要な対象疾患である原発性肺癌は、様々な肺疾患(特発性肺線維症、慢性肺気腫、膠原病肺等)を背景にしていることが多く、手術や術後の短期・長期成績に影響を及ぼし得る。課題克服のための取り組みについて論じていただく。(基調講演 日本医科大学 吾妻安良太 先生、指定演者2名、公募4名)

画像支援技術の進歩と手術への応用
Development of image-guided surgery
従来の放射線画像に加えて、三次元再構成技術による術前シミュレーション、蛍光色素等を応用したマーキング技術、さらにはハイブリッド手術室を使用した小型肺癌の縮小手術など呼吸器外科の手術の精度を向上させうる新しい技術の応用が模索されており、一部は実用化されつつある。本セッションでは縮小手術を安全・確実に行うための小型肺癌の局在同定や区域間線の可視化などに焦点に各施設の取り組みについて発表していただく。
10.パネルディスカッション Panel discussion
肺移植の現状と論点
The status quo and issue in lung transplantation in Japan
我が国の肺移植は、改正臓器移植法ののちも、微増にとどまっており、ドナー提供施設の充実やアロケーションシステムの構築などが望まれている。疾患別にも肺高血圧症に対するプロスタノイドや肺リンパ脈管筋腫症に対するmTOR阻害剤など内科的治療も進歩しており、その適応が議論される機会が増えた。さらに術前の右心不全や術後早期の左心不全に対する呼吸循環補助技術の進歩により、周術期管理法も変わりつつある。肺移植の現状と課題について議論していただきたい。

末梢小型肺癌における区域切除後遠隔期の課題
Issues in the long-term outcome following pulmonary segmentectomy for peripheral small lung cancer
日常臨床における区域切除は末梢小型肺癌の治療オプションとして定着してきたが、JCOG0802/WJOG4607Lのsub解析では決して葉切除よりも低侵襲な手術ではないことも示されている。ここでは、遠隔期における課題として、同側他肺葉や同一葉に生じた再発や第二癌の発症状況とその対処法、肺機能温存効果等について論じていただき、論点の整理を試みる。

IV期肺癌における呼吸器外科の役割は拡大しているか?
Is the role of surgery in the management of stage IV non-small cell lung cancer expanding?
近年の画像診断の進歩はより微小な遠隔転移の検出を可能にし、IV期が層別化されるようになった。さらに分子標的薬の登場によりIV期非小細胞肺癌患者の担癌生存期間が延長している。このような中、胸膜播種やオリゴメタスターシスを有する肺癌における外科治療の役割を再考する必要はないか。集学的治療のオプションとしての外科治療について論じていただく。

11.プレナリーセッション Plenary session
12.要望演題 Requested oral presentation
  術後合併症 Postoperative complication
  新TNM分類 New TNM classification in lung cancer
  開胸後疼痛症候群 Post thoracotomy pain syndrome
  再発気胸 Recurrent pneumothorax
  新技術・機器 Novel technique/device
  気道疾患 Management of airway diseases
  基礎研究(悪性) Basic research in thoracic malignancies
  基礎研究(移植・良性) Basic research in benign diseases and transplantation
  重症筋無力症の手術と管理  Myasthenia gravis
  高難度VATS(単孔、形成等)  Highly technical VATS
  術前N診断 Preoperative diagnosis of nodal factor
  N2非小細胞肺癌に対する集学的治療 Multimodal strategy for N2 NSCLC
  低侵襲のための工夫 Less-invasive procedure
  胸腺上皮性腫瘍 Thymic epithelial tumors
  呼吸器外科医の育成法 Training of general thoracic surgeons
  高齢者肺癌 Surgery for elderly patients
  ロボット支援手術 Robotic surgery
  肺静脈断端血栓 Thrombosis at the stump of pulmonary veins
13.要望ビデオ Requested video presentation
  有瘻性膿胸の治療 Management of pyothorax with fistula
  サルベージ手術 Salvage surgery
  気管・気管分岐部手術 Surgery of the trachea and carina
  頚胸境界領域の手術 Surgery of the cervico-thoracic border
  大血管に浸潤した悪性腫瘍の手術(大動脈ステント治療を含む)
   Surgery for malignancies invading thoracic aorta
   (including endovascular stent)

14.一般口演(O)
15.一般ビデオ(V)
16.一般示説(P)
17.講習会・セミナーについて
講習会
 医療倫理講習会 5月16日(水) 先着600名
 医療安全講習会 5月17日(木) 先着900名
 感染対策講習会 5月18日(金) 先着900名
  • *現行の呼吸器外科専門医制度では、医療安全講習会の受講のみ新規申請、更新申請時に有効となります。
第24回呼吸器外科セミナー
 日 程 : 5月19日(土)先着600名
 会 場 : 東京ベイ幕張ホール
 受講料 : 5000円
  • *本セミナーは現行の呼吸器外科専門医制度で新規申請時の必須項目となっており、更新申請時の基礎条件にも含まれております。
申込方法:講習会・セミナー共に事前申込となります。
 申込み開始:2018年4月11日(水)予定
 申込み締切:2018年4月30日(月)
  • *申込みは日本呼吸器外科学会ホームページの「会員マイページログイン」(https://jacsurg.gr.jp/members/login)よりログインいただき、講習会もしくはセミナー申込みを行ってください。参加者には受講証明書を発行します。申込み方法の詳細は日本呼吸器外科学会ホームページを参照ください。

 

上記3つの講習会と呼吸器外科セミナーは現行制度下の外科専門医更新のための研修実績として、認められる予定です。
また、新専門医制度のための共通講習/領域講習として申請する予定です。

学術集会事務局
千葉大学大学院医学研究院 呼吸器病態外科学(呼吸器外科)
〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1
電話:043-222-7171, FAX:043-226-2172
E-mail:jacs35@ech.co.jp
学術集会ホームページ:http://www.jacs35.umin.jp/

掲載 2018年3月13日